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「野をうしろに色どつて」(室生犀星):藤田書店がおすすめする詩
あなたがたがそんなに大きい
お臀をいままで持つてゐたとは
どなたも ついわすれがちだつた、
立派過ぎるお臀を見るひとは
世界にえらばれた たつた一人しかゐない、
だからあなたがたは
誰にも気づかずに
みがいてだいじにしてゐられた、
これほど隠れた立派さがあるでせうか、
あなたがたがそれを秘密にしてゐるあひだ、
あなたは誰にも負けはしない、
あなたはそれにあかりをつけられる、
あかりのとどくところ
ひとびとは眩しがりこひしがる、
こんな詩をかくといふことは失礼でせうか、
どうか けふは失礼をおゆるし下さい。
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